政府のインテリジェンス、つまり情報収集・分析の司令塔となる「国家情報局」が31日、発足した。内閣官房の内閣情報調査室を改組して設けられたもので、高市早苗首相が議長を務める「国家情報会議」の事務局を担う。
国家情報局は、警察庁や外務省、防衛省など複数の省庁にまたがる情報を集約し、分析する役割を持つ。安全保障上の重要な情報活動や、外国のスパイ活動への対処を担い、外国勢力によるSNS上での偽・誤情報の拡散などの「影響工作」にも対応する。
体制は内閣情報調査室と同等の約730人とされ、700人規模で始動した。トップとなる国家情報局長は、外交・安全保障政策の企画、立案を担当する国家安全保障局長と同格に位置付けられた。初代局長には、警察庁警備局長や内閣情報官などを歴任した原和也氏が就任した。原氏は警察庁出身で、年齢は58歳。
同日には国家情報会議の初会合も開かれ、今後の運営方針が確認された。国家情報会議は首相のほか、官房長官、外相、防衛相、財務相ら9閣僚で構成される。
木原稔官房長官は31日の記者会見で、国家情報局の発足について「情報活動改革の第一歩」と位置付けたうえで、厳しい国際環境の中で、より質の高い、時宜にかなった情報をもとに、政府として的確な意思決定を行うことにつながるとの考えを示した。
国家情報局には、各情報機関の役割分担などを調整する総合調整権が付与された。日本の情報機関は複数省庁にまたがっているため、情報の集約機能を強化し、外交・安全保障政策の立案に生かす狙いがある。
政府は今後、情報活動に関する初の指針となる「国家情報戦略(仮称)」の策定や、スパイ活動を防ぐための法整備、対外情報機関の創設に向けた検討を本格化させる。高市首相は国家情報局の発足を昨年10月の自民党総裁選で公約に掲げており、政府は今秋までに情報活動改革の有識者会議を設置する。
国家情報局の発足により、政府の情報収集・分析体制は新たな段階に入った。今後は、国家情報戦略の策定や法整備、対外情報機関をめぐる検討がどこまで具体化するかが焦点となる。
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