イギリスのスターマー首相が22日、ロンドンの首相官邸前で辞意を表明した。2024年7月の就任から2年足らずで退任に追い込まれた形となる。

スターマー氏は22日の演説で2年間の実績を強調し、「愛する国を第一に考えることが私のすべての決断の基準でし…」と述べた。

政権は出足からつまずき、発足からわずか2カ月後の2024年9月には、支援者から高級スーツなど計10万ポンド(約2100万円)相当の贈答品を受け取っていたことが発覚し、生活費高騰にあえぐ国民の間で反感が広がった。その後も経済停滞や閣僚の不祥事などで一層の政治不信を招き、支持率は記録的に低調だった。英誌エコノミストからは「風邪も引けない病人」のような状態だと形容されていた。

方針転換が相次いだことも不信感を高めた。財政健全化のため年金受給者への冬季暖房費補助を大幅に厳格化したものの高齢者らから猛反発を受け、昨年6月にほぼ撤回した。昨年9月には非正規移民の就労防止策として「デジタルID」を発行し雇用主への提示を義務付けることを表明したものの世論の支持を得られず、今年1月に提示は任意とした。最大野党・保守党のベーデノック党首は直後の議会での首相質疑で「新たなUターンを歓迎する。毎週そう言っている気がする」と皮肉った。調査会社ユーガブの世論調査でスターマー氏を「好ましい」と答えた人の割合は昨年5月時点で約2割まで低下していた。

こうした中で追い打ちをかけたのが、今年5月の統一地方選での与党・労働党の大敗だった。右派ポピュリスト政党リフォームUKの勢いに押され、与党が惨敗したことで首相の責任を問う声が噴出。求心力を急速に失い、今月18日の下院補選で党内の政敵であるバーナム氏が勝利して国政に復帰したことで後任候補の国政復帰に伴い辞任圧力が一段と高まっていた。党首交代を求める声が増大して党内に深刻な混乱が生じ、後継としてはバーナム氏が有力視されている。

また、トランプ米大統領は移民政策で「大きな失敗」があったとして辞任報道のスターマー英首相を批判している。