相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で、入所者ら45人が殺傷された事件は、26日で10年を迎える。犠牲者を悼み、事件を風化させないための集会が22、23の両日、東京都千代田区の国会議員会館で開かれた。
23日に日本障害者協議会が開いた集会には約300人が参加した。事件を機に障害当事者の会「にじいろでGO!」をつくった奈良崎真弓さん(48)は、知的障害は外から見えにくく、思いをうまく伝えられないことがあると説明し、本人が理解しやすい伝え方や、共に活動できる場をつくってほしいと訴えた。
横浜市のグループホーム夢21ホームで働く山口博之さん(48)は、強度行動障害がある人の地域移行を、試行錯誤しながら支えている取り組みを報告した。利用者は支えられるだけの存在ではなく、支援者や法人を育ててきた存在でもあるとして、実践を積み重ねることで、事件が投げかけた問いに答えたいと語った。
22日には障害者団体「DPI日本会議」などが集会を開いた。知的障害者の放送局「パンジーメディア」(東大阪市)が、やまゆり園を取材した映像「沈黙は語る~19人のSilence Speaks~」を上映した。集会後には、「優生思想を許さない!」と書かれた横断幕を掲げ、日比谷公園周辺を行進した。
事件では、重い障害がある人が標的とされ、19人の命が奪われた。社会にある差別意識をあらわにした出来事として、10年を前に、当事者や研究者、受刑者らと向き合ってきた映像作家の視点から、社会が教訓を生かせたのかが改めて問われている。
脊髄性筋萎縮症のため24時間介助で暮らす自立生活センタースタッフの石地かおるさんは、事件が健常者と障害者の大きな隔たりをあらわにしたと受け止めている。事件後、社会がよりよい方向へ進むどころか、排除の対象が広がり、状況は悪くなっていると感じているという。
石地さんは、幼い頃から親や親類に、自分の存在が歓迎されなかったことを示す言葉を聞かされてきた。小学校に入る前には、障害者を「お荷物」とみなすまなざしが世の中にあることに気付いていたという。やまゆり園事件についても、特異な犯行ではなく、多くの人が心の中に持つものを一人の人間が実行に移したものだと感じたと語っている。
受刑者の再生を追ってきた映像作家の坂上香さんは、自分と他者の傷に対話を通じて気づくことを重視している。優生思想を研究する藤井渉さんは、歴史に学びながら、人を見分ける「色眼鏡」への気づきが必要だと見ている。
10年という節目は、事件を過去のものとして閉じるためではなく、いまの社会の中に残る排除や差別の構造を見つめ直す機会でもある。犠牲者を悼みながら、障害のある人と共に生きる社会をどう築くのか、その問いへの答えが引き続き求められている。
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