イエメンの親イラン武装組織フーシ派は20日、イエメン・サヌアからテレビ声明を出し、サウジアラビアに関係する船舶の航行を「海上封鎖」すると宣言した。サウジ外務省は同日、非難声明を発表した。

フーシ派の報道担当者はテレビ演説で、サウジアラビアが空港や港湾を長年にわたり「不当に封鎖している」と主張し、その対抗措置として封鎖を実施すると述べた。声明では、サウジによる長年の「不当な包囲と攻撃」への報復だとも主張している。

フーシ派は、中東の親イラン勢力で構成される「抵抗の枢軸」の一角で、イランの支援を受けている。イエメン内戦では、サウジアラビアが支援する暫定政権と対立しており、内戦はサウジとイランの代理戦争の様相も帯びている。

2022年に非公式の停戦が始まったが、サウジアラビアが今月13日にフーシ派支配下の首都サヌアの空港を空爆したとされる。これを受け、フーシ派は4年ぶりにサウジ領内をミサイルで攻撃した。

イエメン沖で紅海とアラビア海をつなぐバベルマンデブ海峡は、米国とイランの対立によって事実上封鎖されているホルムズ海峡に代わり、紅海経由で原油を運ぶ輸送路として使われている。紅海沿岸にはサウジアラビアの原油積み出し港がある。

フーシ派が武力による封鎖や船舶への妨害を実行し、バベルマンデブ海峡の通過に支障が出れば、サウジアラビアの石油輸出や原油価格、世界のエネルギー供給に影響が及ぶ恐れがある。長期化した場合には、日本への輸出にも支障を来す可能性がある。

船舶追跡データでは、封鎖宣言後、サウジアラビアで原油を積んで紅海を南下していたタンカー2隻がUターンし、北方にあるエジプトのスエズ運河方面へ進路を変えた。2隻は、それぞれ中国とインドへ向かう予定だった。

イランはフーシ派に対し、紅海とアデン湾を結ぶバブルマンデブ海峡の封鎖を要請していたとされる。イランはホルムズ海峡の管理を巡って米国との対立を深めており、フーシ派による「海上封鎖」を対米交渉のカードとして活用しようとしている可能性がある。

トランプ米大統領は21日、フーシ派が「海上封鎖」を実行した場合には「対処しなければならない」と述べた。

暫定政権を支援するサウジ主導の有志連合の報道官は、バベルマンデブ海峡で商船の通航を守るため「防護措置を開始した。フーシ派の脅威には迅速かつ断固として対処する」と声明で強調した。