トランプ米大統領は29日、イランが中東地域の米軍施設に向けて弾道ミサイルを発射したことを受け、報復攻撃を予告した。米軍が使用するヨルダン東部のアズラク空軍基地にはミサイル5発が飛来し、全て迎撃された。米軍は、24日以降中断していた対イラン攻撃を再開したとされる。

トランプ氏はFOXニュースのインタビューで、イランに対し「厳しい打撃を与える」「完膚なきまでにたたきのめしてやる」と述べた。ホワイトハウスで記者団に対しても、「イランは(反撃を)やめてくれと言っているが、今度はこっちの番だ」と語った。一方で、同氏は「彼らに対話を続けさせよう」とも述べ、イラン側との協議を通じて事態の沈静化を探る姿勢も示した。

イランによる弾道ミサイル発射は、米中央軍が28日に発表した。イラン側は、ヨルダンの米軍基地に向けてミサイルを発射したと発表している。米国の支援を受けるヨルダン軍は、イランのミサイル5発を迎撃・撃墜したと発表した。

中東では、イランが支援するイラクの武装勢力をめぐっても緊張が高まっている。サウジアラビアの石油関連施設が、サウジ側が「イランに忠実なテロリスト武装勢力」と呼ぶ組織に攻撃されたことを受け、米軍とサウジ軍の戦闘機は28日、イラク東部の拠点を攻撃した。サウジはこれに先立ち、同組織が発射したとされる無人機を迎撃したと報告していた。

トランプ氏は、この米軍とサウジ軍によるイラクの親イラン民兵組織、人民動員隊(PMF)の拠点への夜間空爆について、イラク政府と調整したうえで実施したと主張した。あわせて、武装勢力を「世界のがんだ」と非難した。

一方、イラク大統領府は、人民動員隊の拠点に対する空爆を非難した。声明では、攻撃を容認できないものとし、公的機関を標的にしたイラクの主権へのあからさまな侵害だと位置づけた。さらに、近隣諸国に対する攻撃の拠点としてイラク領土が利用されることを拒否するとも表明した。

米財務省は29日、資産凍結などを柱とする制裁対象に、イランや中国の団体を追加すると発表した。狙いは、イランがホルムズ海峡を通過する商船から事実上の通航料を徴収し、革命防衛隊の資金源にする動きを阻止することだとしている。

ベセント財務長官は同日の声明で、米国はイランが世界の通商を人質にすることや、革命防衛隊がテロ、攻撃、弾圧の資金源として国際海運を利用することを認めないと強調した。

イランへの軍事的圧力と、協議による沈静化を探る姿勢が並行するなか、中東の緊張はさらに不安定さを増している。米国、イラン、イラク、サウジアラビア、ヨルダンを巻き込む動きが、今後どこまで拡大するかが焦点となる。