ウクライナ軍は18日にかけ、ロシアの首都モスクワに向けてドローン200機近くを発射した。ロシアの独立系メディアによると、ウクライナ軍が1日に使用した無人機の数としては過去最大であり、ロシアがウクライナに対する全面侵攻を開始して4年半が経過する中で、首都周辺を狙った攻撃としては侵略後最大のものとなった。ロシア国防省は18日、過去24時間でウクライナ軍の無人機約1000機と巡航ミサイル計4発を撃墜したと発表した。

モスクワ南東部にあるロシア最大級のカポトニャ石油精製所(ガスプロムネフチの製油所)は、市中心部のクレムリンから約16キロの場所に位置し、今回の攻撃で今週に入って2度目、ここ1カ月で3度目の被害を受けた。当時の動画には、巨大な爆発によって大型石油貯蔵タンクの屋根が吹き飛ばされ、空中に数十メートル舞い上がる瞬間が映っており、上空が煙で真っ黒になる大規模火災が発生した。ウクライナ軍参謀本部は、4基のタンクなどを破壊し、「製油所は無期限に操業を停止した」と発表した。また、モスクワ近郊のショッピングセンターや集合住宅、工業施設にもドローンの破片や無人機が落下し、建物が損傷したり火災が発生したりした。モスクワ州のアンドレイ・ヴォロビョフ知事によると、州内で17人が負傷した。南部ロストフ州の石油貯蔵施設への攻撃では1人が殺されたという。

モスクワの一部地域では、上空の黒煙に加え、地面や服に黒い染みが付く現象が発生した。現地の女性は自宅の集合住宅から外に出た際、細かい霧雨のようなものが降り、着ていた服や友人の上着が「不快な黒い斑点」や黒い斑点で覆われてしまったと述べた。モスクワ当局は「油の雨」が降った事実はないとしているが、モスクワ市の公式テレグラムチャンネルは攻撃の影響を受けた地域の住民に対し、窓を閉めておくよう呼びかけ、子連れの家族や高齢者、ぜんそく患者らは直ちに避難すべきだとした。モスクワ周辺の全4空港は一時閉鎖され、シェレメチェボ空港では飛行機に搭乗済みだった乗客が避難する措置が取られるなど、モスクワの四つの空港で500便以上が欠航または遅延となった。ガソリンの供給不足への懸念から、モスクワではガソリン価格を約2割上げたガソリンスタンドも現れた。

ロシア軍はウクライナに向けてドローン200機以上と弾道ミサイル複数発を発射しており、ロシアの独立系メディアによると、ロシアが実効支配するウクライナの地域を含めて555機のドローンが撃墜され、うち194機がモスクワに向かっていたという。モスクワのソビャニン市長は18日、同日未明から朝にかけてモスクワ方面に飛来したドローン190機以上を迎撃したと公表した。

ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は、このドローン攻撃について、ロシアによる先週のキーウ攻撃への報復だと説明し、世界遺産に登録されているペチェールシク大修道院で火災が発生したことを挙げ、「もしウクライナが燃えれば、あなた方の街モスクワも燃える」と述べた。ゼレンスキー氏は、ロシア各地への長距離攻撃を通じて、ロシアの一般国民に「戦争を身近に感じさせる」ことを狙っている。今回の攻撃は、プーチン政権がロシア中部カザンで東南アジア諸国連合(ASEAN)との首脳会議を開く中で実行された。これを受け、ロシアのセルゲイ・ラヴロフ外相は18日、ウクライナに対して「定例的な大規模攻撃」を含む「大規模」な攻撃が実施されると述べた。ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は、今回のモスクワへの大規模攻撃についてコメントしていない。