ビル倒壊と提訴の経緯
2024年1月1日に発生した能登半島地震では、石川県輪島市の7階建てビルである五島屋ビルが根元から倒壊して隣の住宅を押し潰し、住人の女性と娘が下敷きになって死亡する事故が発生しました。この事故をめぐり、女性の夫である楠健二さんがビルの所有者である株式会社五島屋と国に対して、あわせて2億円あまりの損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こしたことが明らかになりました。
原告側は、国が古い杭の耐震性の弱さを把握していながら輪島市の低い耐震化率を放置したほか、耐震診断の義務対象を巨大ビルに限定したことで五島屋ビルが輪島市の耐震にかかる指導対象から外れ、危険を放置したと主張しています。さらに、ビルの所有会社に対しても自主的な耐震補強を怠った責任があると訴えています。
遺族の思いと事故の背景
居酒屋を営んでいた楠健二さんは地震で自宅兼店舗を押し潰され、妻と長女を失いました。遺族側は自然災害による不慮の事故ではないとし、国が適法に基準を定めて自治体を指導していれば補強や使用中止によって命は確実に救えたはずだとしており、区切りがほしいと訴えています。
倒壊したビルを巡っては、国土交通省の有識者委員会がビルが完成した1975年当時は杭の耐震基準が導入されていなかったと指摘したうえで、地中の杭が地震で破損し一部の杭に負荷がかかるなどして倒壊した可能性があるとする報告書をまとめています。国交省では杭の耐震基準が導入された2001年よりも前に建てられた建物について安全確保策を検討しています。
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